プリチー少年boy伝

エピソード8

いよいよ明日で
スーパー商戦はひとまず終わり♪
長くて短い戦いだったな…
(↑普通じゃね?)

疲れたようで、疲れてないみたいだったな…
(↑それも普通って事か?)

そうそう…
昔もよく稼いでいたな~
(↑ま、まさかの…)

そう…
あの秘技を出す時が
来たようだ♪
(↑あれ?)
(↑マサカズって言わないのか?)


マサカズ!!
はい
言ったぞ…
(↑え~っ!?)
(↑何か冷めてる~)

30年前の話だ…
とっくに時効だからな…
(↑これを真似する人っていないと思う…)



……プリチー少年boy伝(エピソード8)

当時のプリチー少年boyは
年中半袖半ズボンで
髪型は
お袋がいつも
ハサミで切ってたが
簡単だからと言って
ヘルメットみたいな
ヘアスタイルだったんだょ
(↑ウォーズマンに似てたんだょ~)


横がボワッと
インチキおじさん登場~♪
(↑まる子か?)


プリチー少年boyは
髪が多くて硬くて癖毛で
悩んでいたんだよ~
(↑小学6年のクセに…)


プリチー少年boyの
オヤジ君は
顔に似合わず
ヘアスタイルを気にするタイプだったので…
(↑オヤジ君って…)
(↑お前も人の事は言えんやろ?)


茶の間にある
食器タンスの引き出しには
ステンレス製の長クシと
ポマードがあった…


プリチー少年boyは
横にボワッと広がるのを
ポマードをベタベタに塗り
長クシで整えていたんだよ…
(↑オカッパリーゼントか?)

前髪を
たむけんみたいにしたり
…ってか
俺が早かったから
たむけんが真似したり
(↑そこはこだわるトコか?)

顔に墨汁を塗り
シャネルズみたいにしてた…


このシャネルズ作戦が
小遣いを稼いでいたんだょ~
(↑禁じ手を披露するのか…)


家の近くに
酒屋があって
親子で店をしてたんだよ


親子といっても
ばぁちゃんと
4、50才位の娘
ばぁちゃんは
物忘れが激しく
娘は
今で言う知的障害者

友達の家の
ビールの空き瓶を持っていくのに、ついて来た
プリチー少年boyは
空き瓶をここに持っていけば、お金をくれる事を知る…
(↑この悪童が!!)

最初は
学校の帰り道に落ちてたのを、ランドセルにいれて
酒屋に持っていく…
お金をもらい
お菓子を買う…


次に
橋の下の土手を
歩きながら
空き瓶を探し
酒屋に持っていく
お金をもらい
お菓子を買う…

エコ少年boyだな~
(↑今まではな…)


やはり
空き瓶は
そう簡単には増えず
公民館や
神社や
墓地までの行動範囲が
広がり…
それもなくなっていった


橋の下の基地の
招かざる客事件があった
何日間は、
ポマードをつけて
シャネルズみたいに
顔を真っ黒に塗り
ホームレスの目をあざむく作戦を取っていたんだよ…
(↑かえって目立つだろ?)

収穫は2本だが
金に替えようと
酒屋に行くと
空き瓶ケースが倒れて
空き瓶が店の前に
散乱してたんだょ…


おばちゃん~
空き瓶~!!

店から出てきたのは
ばぁちゃんの方だった


たくさん空き瓶あるね
本数を教えて下さいな…


え~っと
15本あるよ~


15本ね?


あっ!?
2本別にあるよ~


17本ね…
はいお金…


ばぁちゃん…
これ違うって~
いいって~


お金たらんのかい?


多すぎだよ~



取っといて…
アンタ…
見ない顔だね…
外人さん?


プリチー少年boyは
すかさず
シャネルズだよ…と
言った…


シャムネズ?


シャネルズだよ!


チャンネル?


シャネルズ!!


シャムネズさんね?
はいはい
ご苦労様…


店を出て
アイスを買って
帰り道に


また
酒屋の空き瓶ケースが
倒れないかなと
思い酒屋の前を
ジロジロ見るように
なっていたんだよ…


で…
魔がさしたのか
足で蹴ってわざと散乱させては、お金を何度か貰っていた…
しかも
シャネルズで…
(↑小学6年のクセに…)


ある日
それをしていたのを
最初に空き瓶について行ってた友達に見つかり…


その友達も
同じ事をし始めた…

何度か
妨害したりしていたんだけど、
中々止めない友達に
腹が立ち
酒屋に行き
自首したんだょ…


幸い友達は
一回も成功せず
未遂に終わった…


シャネルズ少年boyは
酒屋の親子の前で
顔を洗い
素顔を見せた…
(↑勇気がいったな…)
(↑あん時は、怒られるのを覚悟したよな…)
(↑なんせ、10数回はやったからな…)



あれ~?
シャムネズさんは
日本人だったんやね?

どこの
子供さんかい?


(゜□゜)!?
ばぁちゃん…
俺の事知らんの?


始めてみる顔やね~
どこの子だい?


…ばぁちゃん…
ごめんな…
お金欲しくて
店の空き瓶を
ばぁちゃんに
持っていき
お金を何度かもらったんだょ…
(↑何度か?)
(↑10数回だろ?)



へぇ~
アンタ初めて見るけどね~


プリチー少年boyは
何度も
何度も
頭を下げて
謝って


もう二度としては
イケナイと心に決めた…


あれから
小学校の帰り道に
何度か空き瓶ケースが
倒れていたけど

黙って片付けて
帰った…


子供なりの
せめてもの
罪滅ぼしとして…


時が流れた今
この日記を書きながら
ふと
思った事がある
(↑どした?今日は、えらく真面目だな…)



あの
ばぁちゃんは
俺が足で蹴って
ケースを倒してたのを
実は知っていたのかも知れないって…

あの時
俺を知らないって
言ってくれたのは
かばってくれてたのかも知れないって…


俺は
そんな
優しさの中で
精一杯の悪童をしていたんだょ…


全部
ばぁちゃんには
お見通しだったんやね…



人は
人を見かけで
判断し

自分は上か下かを
自分の中で決めつけ
それを
態度で現す…


それによって
相手を馬鹿にしたり
傷つけたり…

ずっと
付き合わない限り
相手の本質を見抜く事なんて
誰にも出来ないんだょ…


今は
弱者をターゲットに
金を巻き上げる
ヤツラが
この世に溢れてる
俺は
そんなヤツラは
決して許さない…

そして
見過ごす事も
出来ない


人の優しさに
触れる度に
心の奥底にある
悪が、正義と変わる


プリチー少年boyが
こういう風に成長するのも
ばぁちゃんには
見えていたのかも…


もう
酒屋はないけど
思い出の中で
いつも
営業中の看板が
下がってるょ…
ばぁちゃん…
ありがとな…




酒屋の優しいばぁちゃんの話
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