紅蓮の鬼
目の前には淋のどあっぷの顔があった。
淋のどあっぷの顔。
淋の…。
「え!!?ぅあ!!?」
俺は仰け反った。
「考え事か?」
フッと彼女は笑った。
「楓太にしては珍しいな」と、付け足して。
「何か腑に落ちぬことがあったか」
淋は真面目な顔をしていた。
「………ん……」
言うべきなのだろうか。
「知りたいことがあるなら聞きなよ。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥っていうじゃん」
空木が口をオメガのようにして言った。