紅蓮の鬼


複雑だ。


俺はモテてるやつが羨ましかった。


男でも女でも、人間でも鬼でも。


モテてるやつが羨ましかった。


俺は引きこもりだったし、こんな風に笑えるなったことだってつい最近のことだし。


いつもどこかオロオロしている俺は。


ただ顔がいいからとか、声がカッコイイからとか、スポーツ出来るからとか、それだけでも。


モテてるやつが羨ましかった。


けど今の話を聞いて、その考えはどうかと思った。


その部分だけ見て、自分自身は見てくれなくて。


その部分だけが好きだと言われて。


じゃぁ他の部分はどうなんだろう。


「楓太?」


ふと淋に呼ばれた。


そこで俺の考えは散っていく。




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