紅蓮の鬼





―――――――――――――――――――――――………



いったん色緋に戻り、千秋に布団をかけた。


その後、ワタシ達は鬼老院へ行く途中に休憩がてら和菓子屋にいた。


ワタシと空木と楓太の三人で。


「まれに、」


ワタシはお茶をすすって言う。


「獣鬼と人鬼との間に、獣鬼と人鬼の双子が産まれることがある」


「……え?」


楓太は団子を頬張っている口の動きを止めた。


あんこが彼の口についたままだ。


「………………」


ワタシは眉間にシワを寄せて、自分の口を指差す。


「ん?」


「あんこがついている」という意味でやったのだが、本人は分からないらしい。


仕方なくワタシは楓太についていたあんこを取った。


「お、さんきゅ」


そう言って、また団子を食べる。


ふと空木を見ると、ぽやーんとしながらまんじゅうを食べていた。


「……………」


……暢気な奴だ。






< 252 / 656 >

この作品をシェア

pagetop