紅蓮の鬼






――その刹那


大きな音と共に、花桂樹が私を手放す。


支えを失ったワタシの体は地面に叩きつけられる。


かと思ったが、


「俺の女にナニしようとしてやがる…」


妙に低い声だった。


その声の持ち主が、ワタシの体を支えているようだった。


ワタシは重たい瞼を上げる。


見たことのある、灰黄緑の髪が見えた。








「…そう…た?」










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