紅蓮の鬼




「木の上で寝る」


「鳥か!!!」


「いや、鬼だ」


「あ、そこはツッコむんだ」


「サラバ」


ワタシが部屋を出ていこうとすると、楓太はワタシの手首を掴む。


「いやいやいやいや、」


「なんだ」


「聞いただろ?今日冷えるって」


「だから何だ」


「風邪ひくぞ?」


…………振りだしに戻った。


「ひかん」


「もしかしたらってこともあるだろ」


「ひどい」


「!!?」


楓太がこれでもかというに目を見開く。


――あ、間違えた


言った後に気づいた。


『ひ』じゃなくて『く』だ。





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