紅蓮の鬼
「あ、そういえばさ、俺らって夫婦のまま?」
とあるルートを通った後、楓太が難しい顔をして言った。
「いや、それはないだろう」
ワタシは腕を組む。
「そもそも、初めからワタシらはちゃんとした夫婦ではないし」
「え?」
楓太の目が点になる。
「ここでは婚姻届を出さねば夫婦ではあるまい?」
「お、おぅ」
「鬼の世界ではどちらかが勿忘草を渡さねば、夫婦になったとは言えんのだ」
「…………………」
絶句。
楓太を表すのに、その表現がしっくりくる。
「そして夫婦じゃなくなる時は、どちらかが死んだ時だ」
「…え……ちょ…じゃぁ俺は、」
楓太は悟ったのか、尋常じゃない程の汗をダラダラと流し始めた。
「あぁ、こっちでは死んだことになるぞ」
「うそ――――!!?」
楓太が萎れた稲のような表情を見せる。
「俺、死人ってマジかよ………まだ生きてんのに…」
「…………………………」
――…流石に言いすぎたか……
本気で落ち込んでいるようだった。
「……、まぁ…空木とイチイには本当のことを話してあるから、おまえが死んでないと悟る筈…」
「あ、マジで!!?」
楓太はワタシにキラッキラした目を向ける。
「やった!俺生きてる!!!」
そう言って立ち上がり、ガッツポーズを決める。
「…………………」
――立ち直り早っ