紅蓮の鬼
「次はごま油で焼くわよ」
「イヤー!!!オーサマ王様魔王様っ!!!変態ショタコン女装戦士がボクをごま油で焼くって!!!」
イヴァルは半泣きで俺に抱きついてくる。
そんな彼を俺は引き剥がそうとするが、全く動かない。
「いーじゃん別に、焼かれとけよ。お前の味を引き立たせてくれるごま油に感謝しながら焼かれろ」
「それに、」と俺はつけ足す。
「俺は魔王じゃねぇっつの」
いや、次期魔王だけどまだそういう式はしてない。
それに魔王になっていい歳は21歳からだったらしく、その年に達していない俺は厳しい教養を受けつつ、今みたいに魔界から抜け出して気分転換をしている。
そんで、このキャラの濃いオカマと肉団子は俺の直属の部下。
っていう位置だけど…………こいつら俺のこと慕ってんのかな。
「ほら、ここにライターあるし…………あ、ごま油もあるわ!」
カッとポーン姉さんが嬉しそうに目を見開く。
そして俺とイヴァルの言葉は完全にスルー。
「え、嘘!!?何でそんなモン持ち歩いてんの!!?ちょ、ちょっ助けてっ」
「あ、ちょっ!!?裾引っ張んな馬鹿!!!つか、姉さんライターに火を灯すな!」
こんな馬鹿みたいな漫才とか始める二人は、俺のことどう思っているんだろうか。
…………まぁ、うん。
この二人は俺の部下であり、友達であり、たぶん信頼できる奴らです。
うん、たぶんね。
たぶん信頼できると思う。