紅蓮の鬼

...side淋



ワタシの傷が完全に癒えたのはそれから五日後だった。


「……………なんだ……」


襖の外から誰かの気配がする。


「…お話……が、あります……姐さん」


彼らは楓太や空木でもなく、色緋の者たちだった。


ワタシは襖を開け、片膝をついている彼らを中に入れた。


彼らは正座をし、神妙な面持ちでワタシを見る。


「……要は…どこです?」


壮年の男が口を開く。


ワタシは一瞬、更に眉間のシワを深く刻んだ。


「…………花と散った」


そう吐き捨てる。


――感傷に浸るな


「!」


男達が目を見開いた。


「要は死んだ、ここに戻っては来ん」


そう言ったワタシの胸が痛む。


「話はそれだけか?」


――ワタシは色緋の淋


壮年の男は俯いた。


「あ、姐さん……」


後ろにいた少年が顔を真っ青にしてワタシを呼ぶ。


「あんたなんで……なんでそんな無表情でものを言うんだ…!!?」


少年のとなりにいた青年が「信じられない」というように顔を歪めた。


「……感傷に浸ってどうする。死んだ者をとやかく言っても要は生き返らんぞ」


何故か、苛立つ。


「死への覚悟くらいはしておけ」


「あ、姐さん……あんた…そんな無慈悲な…」


「お前には死んだ者の言うことが分かるのか?」


苛立つ。


「そういうわけじゃないけど…」


少年はワタシから目を逸らし、目を落とした。


「…姐さん………今のあんたには俺らはついていけない」


壮年の男がかぶりを振る。


「悪いが里に帰らせてもらう」


彼はワタシの目をハッキリと見て言った。


「好きにするがいい」


ワタシは腕を組んで睨むように彼らを見た。



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