紅蓮の鬼
朝と夜がだんだんと寒くなってきた秋。
俺はクラスのダチと山にキャンプに来ていた。
キャンプっていっても何かのツアーの一環らしいけど。
「楓太ー、魚釣ってきてー」
クラスん中でも一番仲がいい、ヨシャこと生塩 夜支哉(ウシオ ヨシヤ)が俺に言う。
ちなみにこいつは人間。
この国にはヴァンパイアはあんまり留学しないらしい。
「はぁ?なんで俺なんだよ」
「昨日俺よりたくさん釣ってただろ~」
「…だからどうした」
「だから釣ってきてー」
ヨシャは俺にバケツと釣竿と魚のエサを持たせる。
「んじゃ、まかせたっ」
そう言ってダッシュで逃げる。
「……マジかよ…」
ポツーンとその場に残された俺はつぶやく。
…俺、
魚がいたところまでの道、覚えてねぇんだけど。