みんなの恋~short stories~



カリカリ。
シャーペンを走らせる音が響く。


なんだかスゴく視線を感じるけど、ムシ。
可哀想になるけど、ムシ。


「早くデートしたいなぁ…」
呟きが聞こえた。



そんなのあたしだってそうだよ。
でも仕事おわらせなきゃダメじゃん。


ガリガリ。
そんな思いがあってかさっきより筆圧が強くなる。

「浜野」

呼びかけるので、振り向くと
ひどく拗ねた顔。

「俺、帰るわ。」

「え?」

「だって浜野構ってくれないし。どうだって良いじゃんそんなの。今日授業短かったしたくさんデートしたかったの!」

今まで溜まっていたものを吐き出すようにセリフを吐き出した。

「そんなのって…」

あたしはまずそこにカチンときた。

「そりゃ、斎藤にとってはどうでもいいかもしれないけど!…あたしだってデートしたいし、でもするには仕事おわらせなきゃダメだし…」

最後にはあたしの声は小さくなり、なんだか泣きそうだった。
< 2 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop