みんなの恋~short stories~
斎藤が何かいうのではと身構えていたけど、その様子もなく。
ゆるゆると顔を上げると、嬉しそうな顔。
「な、何笑って…」
「デートしたい?」
「え?」
「デートしたいって言ったよね?」
「う、うん」
言ったけど。
言ったけど、なんで?
なんでそんなに嬉しそうなの。
「よし、行こう!」
ガタッと勢いよく席から立ち上がって、
「ほら、片付けして」
とあたしを急かす。
「え、だから仕事…」
話し聞いてた?
と思わず言いたくなる。
「そんなの後でチャチャチャーっとやってあげるから」
チャチャチャーの所で両手を流すような動きをして表現する。
それにそんなのって…
けっこうあたしは誇りを持って仕事してるんですけど?
「いいから、いいから。」
斎藤はあたしの荷物を勝手にまとめてスクバに詰める。
そしてあたしの手を引いて強引に学校の外へと引っ張っていく。