同居人はNo.1ホストー3ー完
その懐かしい声は、あたしの背後から聞こえて来た。
久しぶりに聞く懐かしい声……
それはー……
「春綺君……」
春綺君の姿は、たまに見かけてたけどこうやって面と面を向かい会うのは久しぶりかもしれない。
(久しぶりだね、捺海ちゃん)
相変わらず変わらない優しい笑顔。
「久しぶり、春綺君」
春綺君の姿は、何回か見かけていたけどこうして面と面を向かい会うのは……あの日以来。
春綺君の想いを知った、あの日………
あの日、あたしは春綺君に告白された。
そして、あたしは春綺君に言った。
まだ、答えられないと……
あの時のあたしは、まだ自分の本当の気持ちに気付いていなかった。
尚希のことが、好きだと言うことに。
それに、もし……自分の気持ちに気付いていたとしても、あたしは気持ちは変わっていなかっただろう。
あの時のあたしは、自分の本当の気持ちに気付いていなかっただけではなく……
迷いがあったから。
あの頃のあたしは、人を信じるのが怖くっていつもマイナスなことばかり考えていた。