危険な瞳に恋してる
「あらまあ、良いところで。
 ごめんなさいね。
 おほほほほ~~」

 地を這うような低音が、恨めしい。

 入って来たのは。

「か……薫ちゃん……!」

 ボン、と顔が爆発しそうで、わたしは、慌てて、紫音から飛び離れた。

「あらあら、あたしのコトは気にしないで、続きをすればいいのに~~」

 ん、なことできません!

 恥ずかしくてじたばたしているわたしに軽く笑ってから。

 薫ちゃんは、紫音に、大げさに泣きついた。

「紫音ちゃん~~
 いろんなコトがあったのは、知ってるけど。
 今日は真面目にお仕事してね~~
 でないと、あたし、泣いちゃうわよ!」

 薫ちゃんは、両手を組むと、お願いのポーズをして、目をうるうるさせた。

「もう、アヤネさまが来て、紫音ちゃんはまだかって言ってるでしょ?
 今日から来るハズのバイトの新人クンは、都合で明日からになっちゃうし。
 ナンバー・スリーの翔ちゃんは風邪で休むって……」

「わかった、わかった」

 紫音は、薫ちゃんの泣き言に、苦笑して、手を振った。

 
< 119 / 313 >

この作品をシェア

pagetop