いつかの君と握手
「え」

「えー、猫娘いいなあ。田中くん、あたしのことは悠美って呼んでね!」

「あたしも! 神楽って呼んで」


手芸部二人、いい食いつきっぷりだ。
やっぱ女の子は積極的なほうがかわいいよね。


「うん。悠美に、神楽だね。で、いい? ミャオで」

「ああ、いい、けど」

「じゃあオレもことも、穂積(ほづみ)って呼んで。あ、二人もね。柘植さんは、ええと琴ちゃんって呼んでもいいかな?」

「いいよお。じゃあ、これからは穂積くんって呼ぶね」


田中くん、いや穂積て、もしかして女の子の扱いに長けているのではないだろうか。
きゃいきゃいと会話している様は、女の子に囲まれていることに慣れた人、という感じがする。
頭もよく、学級委員をし、おまけにかっこよろしい。背も高い。
まあ、モテて当然だろうなあ。

と気付けば、周りの肉食系女子さまたちが殺気だっているではないか。
あたし調べであるが、学年でも上位に食い込む美形男子が二人もいる(悔しいが、大澤は一位だ)班だなんて、VIP席のようなものなのではないだろうか。

ああ、チケット制であれば、オークションにかけるのに。さぞかし高値でやりとりされただろうに……。
誰か、あたしと琴音(琴音は彼氏がいるので、別にこの班に固執しないだろう)と班変わりませんかー?


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