Raindrop~Mikoto side
「……あんた、どうかしたの?」

大学の練習室で、ひとり篭ってヴァイオリンの練習をしていたところへ、いきなりドアを開けて入ってきたアキちゃんは、開口一番にそう言った。

「わ、びっくりした。何?」

「こっちが聞いてんのよ。どうかしたの?」

「え?」

「音が飛んでる。集中してないでしょ」

「あ……そう、だった?」

「まさか水琴が弾いてるとは思わなかったわよ。覗いてびっくりしたわ」

「ああ……」

苦笑しながら、ヴァイオリンを肩から下ろす。

確かに──寝不足だし、二日酔いだし、頭の中はゴチャゴチャで、とても集中して練習出来る状態ではないことは確かだ。

「お坊ちゃんたちに教えるの、そんなに大変?」

「ん……そうね、ある意味大変よ。あまりにもレベルが高くて……本当に私なんかでいいのかなって、常に不安がつきまとうわね」

「まあ、橘兄弟って有名だもんねー。特にお兄ちゃんは」

「そうなのよね」

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