ケータイ小説 『肌』 著:マサキ
誰とも会わずに過ごす残りわずかな夏休み。
時間は、山の間を流れる川の水のように、ゆっくりと流れる。
マサキと会わない時間。
マサキとの関係をどうするべきなのか、結論が出ないまま時は過ぎた。
……ううん。結論は出ているんだ。
けれど、あえて、マサキには連絡せず、代わりに彼の小説を何度も読み返した。
特に、重要な最終章を。
そこには、事故で性器に障害を負ったことや、交通事故に関する想い、私への未練が綴られていた。
《俺を引いた運転手の言い分を聞き、最初はあきれたし悔しくもあったが、憎しみはない。
ただ、彼女に言いたいことがある。
もし今後、車を運転するのなら、周りや自分の命に対して責任を持ってほしい。
安易な気持ちで、車の運転をしないでほしい。
事故を起こして小さなケガで済めば幸いだが、大きな被害が生まれる場合も多くある。
事故の被害者は、影で泣いている。
便利な世の中。
車があれば、たいていどこへでも行ける。
その裏で、交通事故の後遺症に苦しむ人が大勢いる。
俺も、そのうちの一人だ。》