ケータイ小説 『肌』 著:マサキ
「なにあれ!
“失恋コレクションしてる”って風に聞こえた!
恋はオモチャなんかじゃない……。
やっぱり、マサキって変わったよね。
女のことめちゃくちゃバカにしてない?
前はあんなヤツじゃなかった。
ミオも、黙ってないで言い返してやればよかったのに!」
私の代わりに怒ってくれるアサミ。
その言葉は、途中で聞こえなくなった。
――――未練はない。
マサキの言葉は、思ったより深く私の胸をえぐった。
マサキと過ごした幸せな日々。
何物にも代えられない、大切な想い出。
過去にひたっていたのは、私だけだったんだ……。
こっぴどくフラれて傷ついて、悲しいとかつらいって気持ちを持ち続ける方が、まだマシかもしれない。
マサキにとって、私との恋は、パソコンやケータイに保存されたデータと同じ……。
ただ“そこに有る”から、無視できない存在になってるだけ。
それって、嫌われるよりきつい。
だって、私がマサキに恋してた時の気持ち全てを、否定されたも同然なのだから。
マサキにとって、私と付き合っていた頃の記憶は、無機質で感情の無い、ただのデータなのだと言われたようなものなのだから。
《Ⅱ 隠している…終》