ケータイ小説 『肌』 著:マサキ
ヒロとマサキ。
二人は、私とアサミに何かを隠してる。
アサミの言葉を前に落ち着かないヒロの様子を見て、私はそう直感した。
アサミは不満げに頬を膨らませ、こっちを見てくる。
ヒロは逃げるように、
「俺も、ウーロン茶もらってくるわ」
と、カウンターの方に行ってしまった。
「なんか怪しい、あの二人」
アサミは目を細め、フロアの端々に離れたヒロとマサキを交互に見た。
「まあ、あとちょっとだし、楽しも!」
私が話題を切り替えようとすると、アサミはニヤリと笑った。
「マサキのこと嫌いじゃないけど、でも、ざまあみろだよ。
アイツ多分、ミオに未練あるよ。
じゃなきゃ、ミオに彼氏いたって平気なはずじゃん」
「さあ、どうだろ?
わかんない」
苦笑し、ごまかす私に答えたのは、マサキだった。
アサミの「ざまあみろ」辺りから聞いていたのだろう、彼は私にケータイを返し、
「元カレとの想い出に新しい恋愛を上書きできる女と違って、男は、元カノの存在をデータ別に保存して心のメモリで管理してんの。
俺もそう。
別に、ミオに未練があるわけじゃない。
ただ、俺ら男は繊細で弱い生き物なんだよ」
「なにそれ。男をひいきし過ぎ。
女だって失恋したら泣くし、弱い部分はいっぱいあるんですけど!」
「それはすみませんでしたっ」
言い返すアサミを軽くかわし、マサキはヒロのところに行ってしまった。