seven kisses
先輩を初めて見たのは、入学前に下調べに来ていた四月の大学のグランド。

散り始めた桜のピンクが青空に映えてキレイで、気持ちの良い午後だった。



サッカーゴールに向かって、何度も何度もシュートを打つ。

いろんな角度から、思い通りに打てるまで。

汗をキラキラさせながら、一人で黙々とボールを蹴り続ける姿に見惚れた。



迫力ある力強いシュートと真剣な眼差しが、どちらかと言うと小柄な体格を大きく見せる。

特別にサッカーに興味があった訳でもないのに、私はそこから離れられなくて、しばらくその様子を眺めていた。
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