恋の行方〜甘い約束〜
‘助けてもらったお礼してなかったよね’




そう書かれた紙を読み終えた俺に紙がまた渡された。



‘それと約束守れなくてごめんなさい。’





「約束って?」





そう尋ねるとまた紙を差し出してくる花梨。




俺の質問を予測して先に書いてあるのかな。





渡された紙に書かれていた言葉、それは

‘何かあったら頼ってって言われたのに、黙っててごめんなさい’





「足の事だよね?」





頷くのを見て俺は紙を握りしめて花梨を見た。






「言いたくても言えない状況だったよね。
…京香の事、何か気づいたんじゃない?

だから足捻ったって言えなくなった?」





花梨の目にじわーっと涙が溜まって流れ落ちる。




その顔を見て確信した。




「トイレ前で京香との…見たんだね」





あえて何かは言えなかった。

もしかしたら花梨は見ていないのかもしれない。

そしたら今、その事で新たに傷つけてしまうことになるから…。

いや…ちがう。見ていないなら知られたくないってズルイ考えからだ。
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