野良猫みたいな男 ■
***


「ね。ちょっと、お皿とって」

「コレ?」

私はなぜかナギサと食事をするべく用意をしている。




ナギサが、「名前教えたから、ご飯を頂戴。」との理不尽な請求。

じゃ、私が写真をプリントしてあげたお礼は?とも思ったが、
二人の間に
ナギサの「ぐぅ~」という音が鳴り響いたので、
笑って、了解してしまった。



ナギサは私が『女』だと意識している様子もなく、
取り立て変な人だけど、危険な雰囲気じゃないので
まぁいいかと
とりあえず、シチューを作ってみた。



「おれ、シチュー好き。」

鍋をくるっとかき回していると、
ナギサが不意に、つぶやいた。

「へぇ。そうなの・・・」

見上げると、ナギサが思いのほか優しい顔で見つめていたものだから、
思わず、ドキンと身構える。

ーーそ。そんな表情もできるんだ・・・


「アサコ?何?」

「----へ?いやっ。なんでも…ない。」

不覚にもときめいてしまった・・・。

なんだか悔しくなって、シチューの鍋を必要以上にくるくるとかき混ぜた。

よく見ると、ナギサって顔はいいのよね。
変な人って思ってたから、意識してなかったけど、
背も高いし、少し切れ長な深いグリーンの瞳。

赤いメッシュの髪形も似合ってるし。


職業「サービス業」って言ってたけど・・・

あ。もしかして、『ホスト』とかピッタリかも。
でもなぁ、無表情だしなぁ。


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