野良猫みたいな男 ■

私の勤める『いちご写真館』は、
町の写真館。

記念写真とか、家族写真。出張の写真撮影など、
人物写真を中心に営業している。


私は、写真技師としてではなく、補助として勤めていて、
記念写真をとりにきた 子供たちを笑わせたり、
着付けをしたり、お茶をだしたり、

雑用をメインに働いている。


それでも、『写真』の近くで仕事ができる。

というのは幸せだな。って。



写真の専門学校に行ってたわけでもないし、
身近な誰かが『写真家』とかってわけじゃない。

私に特別才能があるわけじゃないけど、
一瞬を切り取る写真が好きだ。


だから、この写真館に就職できたときは本当に飛び上がるぐらいうれしかった。



朝一番の仕事は、
店の周りを軽く掃除。


実は、この作業が結構すきだったりする。


ささっとごみを拾って、
植木に水をかけたら、なんだか気持ちまで洗われるような。


気持ちが引き締まる。


今日は平日だから、
午前中に、一つ予約が入っているだけ。

後は、お渡しする写真の整頓とーーー

今日の作業を復唱しながら、
私は、店内に戻った。


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