野良猫みたいな男 ■

今日は黒い瞳。

あぁ、そういえば仕事終わったって言ってたな。
ナギサの仕事ってなんだろう。

っていうか私
ナギサの何もしらない。

何にもーーー



大輔のことも何も知らなかった。
他に大切な人がいたことも。

もしかして、
実家ぐらしっていうのも嘘だったのかな…




「3年も付き合ってたのになぁ。」

ぽつりとつぶやいた。

ナギサは一瞬私を見たけど
何も言わず視線をそらして
ぐいっとグラスに残った酒を一気に流し込んだ。


そして
何も言わず
私の腕をとって
立ち上がらせる。

「ちょっ。
 何するのよ!」

「うるさいなぁ。帰るぞアサコ。」

どんなに暴れても
男の人の力にはかなわない。

ナギサはひょいっと私を持ち上げると、
抱えるようにして歩き出した。

「ちょっと、
 ちゃんと歩ける・・・」

と言いかけて、
私はふらりと足を崩す。

「…くす。ちゃんとーー何?」

「・・・なんでもありましぇん。」

大人しく
ナギサの手を借りて
歩き出した。


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