「1/4の奇跡」左側の君に【完】
真壁さんが隣にしゃがみこんできた。
「大丈夫かい?」
ゆっくりと優しく私の頭を撫でてくれた。
男の人に頭を撫でられたのは、拓人以来だ・・・・
結局私は、思い出してないと言いながら、
何をするにも、拓人を思い出していたんだ。
「大丈夫です。すみません・・・
こんなはずじゃなかったんですけど・・・」
私は、両手で目を抑えた。
「まだ好きなんだね。彼のこと」
私は、頷いた。
「でも、もう本当に忘れないと・・・
どうにかして忘れないと・・・
すみません、仕事中にこんな・・・
今、泣き止みますから」
私は、自分の顔をパンパンと叩いて、
「よし!」と気合いを入れて立ち上がった。
「天文台に戻ります。すみませんでした」
頭を下げると、真壁さんは優しく微笑んだ。
「無理しなくていいんだよ。
大丈夫かい?」
「大丈夫です。戻りましょう」
私は、真壁さんの腕を引っ張った。