「1/4の奇跡」左側の君に【完】
「こんにちは」
そう言うと、彼女は笑って頭を下げた。
あ・・・そうか、手話・・・
私は、ポケットから手帳とペンを出し、
【昨日はありがとうございました。
水筒の忘れ物があったので、届けに来ました。
うす田星夏さんの水筒です】
と書いて彼女に見せた。
彼女は手帳を覗いて、「ありがとう」と手話をした。
そして彼女も、
首から下げていた名札に引っ掛けていたペンを外して、
私の手帳に書き込み始めた。
【直接うす田さんに渡してあげてください。
ちゃんとお礼を言わせたいので。
4年1組です。
この校舎の3階上がって右の一番奥です。】
私も「ありがとう」と手話をした。
とても笑顔のかわいい彼女だった。
物腰が柔らかくて、良い先生なんだろうな・・と思った。
拓人が好きになったのも、わかる気がした。
私は思い切って彼女に伝えたいことを手帳に書いた。
【和泉先生とご結婚されるんですよね。
おめでとうございます!!】
彼女に見せると、彼女は顔を真っ赤にした。