「1/4の奇跡」左側の君に【完】
はっとして目が覚めた。
夢か現実か、よくわからなくなっていた。
目の前に、ふわふわとした髪・・・・
繋いだ手・・・
私は繋いだまま上半身を起こすと、
ソファーに顔を乗せて眠っている拓人がいた。
夢じゃない・・・
このままここで眠っちゃったんだ・・・寒くなかったかな・・・
私は自分のかけていた布団を、拓人にかけようと、
繋いだ手を離そうとしたら、
拓人がぎゅっと強く握ってきた。
拓人・・・・
私は繋いだ手はそのままにして、
反対の手だけで布団をかけた。
すると、拓人がまぶたをゆっくりと開けた。
ちょっとぼんやりしてから、私を見た。
「おはよう・・拓人、寒くなかった?」
拓人は、ハッとして自分にかかっている布団を掴んだ。
「お前・・ちゃんと布団かけて寝てたか?」
私は、あははっと笑った。
いつも自分のことより、
相手の気持ちばかり考えちゃうんだな・・・拓人って。
「かけてたよ。かけてなかったのは、拓人の方だよ。
大丈夫?」
「ならいいんだよ・・」
そう言って、ずっと繋いだままの手を見つめて、ふっと笑った。
その時、お母さんが階段を下りてくる音がした。