「1/4の奇跡」左側の君に【完】





一緒に朝ごはんを食べ、


いつも一緒に通勤していたお父さんに、

拓人に送ってもらうと言ったら、


ちょっとさみしそうに「そうか・・」と言って、


先に天文台に行ってしまった。





私はまた拓人の車に乗せてもらって、


天文台に送ってもらった。





また、メガネをかけて、

寝癖のメガネ姿の拓人を明るい中で見て、




出勤前に、胸がキュンとしてしまって、


どうしようかと思った。



「花音って何曜休み?」



運転しながら拓人が聞いてきた。





「月曜休みだよ」





「休み合わねーな・・」




「そうだね」






天文台の駐車場について、

拓人はハンドルをくるくると回して駐車した。






「コテージにいつか泊まれないかな」




拓人は前を向いたままそう言った。





「泊まる・・・コテージ?」




拓人は頷いた。



「約束していたのに、泊まれなかっただろ。



でも、花音が休みってことはコテージも休みか・・」





「ううん。コテージは違う会社の管轄だから、



天文台の職員とは、違う勤務体制なの。




聞いてみるね・・・





私も、拓人と泊まりたいし・・・」






私がチラッと拓人を見ると、




左手を伸ばして頭を撫でてきた。




「仕事、頑張れよ」





私は頷いて、車を降りた。




あ・・・待って・・・




私は、助手席の窓をコンコンと叩いた。




すると窓がゆっくりと開いた。



「どうした?」





私は、バッグから手帳を出して、



携帯とアドレスを書いてぴりぴりと破き、


運転席の拓人に手を伸ばして渡した。




「また・・絶対に会えるよね?」









拓人は紙を見てから笑った。





「後で、メールするよ。



帰りの時間を返信しろ。



迎えにくるから。


ほら行け、遅刻するぞ」





私は頷くと、天文台へと走った。






途中で振り向くと、まだ助手席の窓は開いたままで、



ハンドルに腕を乗せて、


拓人がこっちを見ていた。





私が大きく手を振ると、


拓人はうんうんと頷いた。




・・・やっぱり頷くんだ・・・




そっか・・・同じなんだ。




私たちはずっと・・・・・・












私はまた天文台へと走った。















< 285 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop