「1/4の奇跡」左側の君に【完】
いつものように、莉子はパンコーナーの行列に並び、
私はいつものように空いている席を探した。
調度よく二人がけのテーブルが空いたからそこに座り、
莉子が来るのを待った。
学食をぐるっと見回すと、広い学食のほとんどの席が埋まっていた。
食べている人
笑っている人
歩いている人
並んでいる人
友達同士
恋人同士・・・
「花音ちゃん」
ぼーっとしていたら、
名前を呼ばれた。
ふと見上げると、一つ年上の夏目先輩が立っていた。
「・・・こんにちは」
私が笑いかけると、
夏目先輩は私の頭を撫でた。
「花音ちゃん、どうしてもダメ?」
くるくるとゆるくパーマがかかっている茶色の髪は、
ふわふわと顔周りにかかっていて、
大きく開いた胸元から見える、クロスにリングがかかったネックレス。
3日ぐらい前に、突然夏目先輩から告白された。
なんの接点もなかったのに。
一度も話したことないのに。
「無理・・です」
夏目先輩は、自分の周りにいる女たちと私が
同類だと思っている。
軽い女だと思われている。
声をかければ、簡単にほいほいついてくる女。
私は、違う、そんな女じゃない。