「1/4の奇跡」左側の君に【完】
「このモデルかわいくない?」
これが莉子に初めて声をかけられた時の言葉だ。
雑誌を持って、私の前の席にどかっと座ってきた。
最初警戒していた私に、
莉子はお構いなしに、どんどん話しかけてきた。
莉子は今流行っているメイクとか髪型に詳しくて、
そういうことに関して全く無知だった私に、
メイクの仕方とか、髪のセットの仕方とかを、
丁寧にひとつひとつ教えてくれた。
そしたら、どんどん楽しくなってきて、
気づくといつも一緒にいた。
気づくといつも笑っていた。
「私、莉子の事大好きだから」
パンを食べ終わりペットボトルのお茶を飲んでいた莉子は、
私の言葉を聞いて、ググッと口元を抑えた。
「何!急に!噴くわっ!
もう、わかってるしそんなの。
ほら、教室もどるよ!」
莉子は立ち上がってゴミ箱へと歩いていってしまった。
私も急いでお弁当箱を袋にしまい、
莉子の後を追いかけた。
学食を出て、校舎へと続く渡り廊下を
莉子と並んで歩いていたら、
学食の隣にある体育館から、
ダンダンダン!という音と、
楽しそうな笑い声がしてきた。
「何しているんだろう・・・」
莉子が体育館の方へと向かった。
私もついていって、
半分だけ開いていた扉から、
そっと中をのぞいてみたら、
3人の男子が、
バスケをしていた。