「1/4の奇跡」左側の君に【完】


教室に入ると、


窓際の一番後ろの席で、

やっぱりかったるそうに頬杖をついて、


不機嫌そうな顔をして座っている和泉がいた。




・・・さっきと全然違う・・別人みたい・・




そんなことを思いながら、


教卓が目の前の、自分の席についた。



「よーし席替えするぞー!」


担任がそう言いながら教室に入ってきた。



そうだ、席替えだったんだ。



和泉の事ですっかり忘れていた。



どうかどうか、次は一番後ろの席になりますように・・・


私は急いで心の中で祈った。



席替えはいつもくじ引きでやる。


黒板には、ランダムに数字が振られてある座席表。


教卓の上には、番号の書かれた紙の入った箱。



ひとりひとり前に出て、くじを引いていく。




私の番がきた。

一番後ろ!一番後ろ!と祈りながら、

箱から一枚の紙を引いた。



恐る恐る開いてみると、



【7】




7番か。

7番 7番 7番・・・あった

7番は窓際から2列目の一番後ろだった。



やった!後ろ!


さようなら、この先生からの威圧感たっぷりの席!


今日はついている・・と浮かれていたら、

くじを引きに和泉が前にきた。


目の前で箱に手をいれる和泉。


その表情はやっぱり不機嫌そうだった。


・・・笑うとあんなにかわいいのに・・


和泉はくじを開き、黒板の座席表を見ても、

全く表情を変えることなく、

そのまま自分の席に戻っていった。




全員くじを引き終わって、


一斉に机と椅子を移動した。



一番前の席から一番後ろの席に移動するのに手間取って、


結局一番最後まで、ガタガタと音を立てて移動していたのは、

私だった。


椅子に座って、机の位置をまっすぐに直そうと、

両隣の机を見たら、


窓際の方の隣の席に、

頬杖をついてこっちを向いている




和泉がいた。



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