「1/4の奇跡」左側の君に【完】
「あ・・あれ。移動しないの?」
さっきと同じ場所にいる和泉に、
そう声をかけた。
「俺、またここだけど」
え。
「そ・・そうなんだ。
・・・・・よろしく」
私はそう言って、軽く頭を下げた。
和泉は、ぎろっと私を睨んだ。
・・・なっ。なんか怒ってます???
そう思ったら、
和泉も軽く頭を下げた。
なんだ、怒っているわけではないんだ・・
それから残りの時間、
3週間後の文化祭の話を担任がしていたんだけど、
隣の和泉が気になって気になって、
全く先生の話が耳に入ってこなかった。
どうしよう・・この席。
全く授業に身が入らない。
こう見えて勉強は頑張っているほうなんだけど、
これじゃあ・・・
あーーーー!!ダメだダメだダメだ!!
私は、自分の両手で、頬をぺちぺちっと軽くたたいた。
それでもやっぱり、
私の左側に意識が集中しちゃって、
あ、頬杖をやめた・・とか、
なんか書いている・・とか、
・・・超気になりすぎている。。。
そうだ、もう一回顔を見たら、落ち着くかもしれない。
バスケの時とは、違うじゃん!
くたっとしていて、全然違うじゃん!
ムスっとしていて、超不機嫌クンじゃん!
そんな顔を見れば、きっと私も落ち着くはず・・
そう思ってもう一度、ちらっと和泉を横目で見た。
すると、うっかり目が合ってしまった。