白と黒の神話
 物音一つしない空間に響いているのはシュルツの声だけ。誰も何もいえない状態ではあるが、セシリアは気力を振り絞るようにしてたずねていた。


「アルディス様とジェリータが同一人物ってそういう意味なの? アルディス様はあなたの妹の魂が転生した姿だというの?」

「そうだよ。聖王女とジェリータは鏡の表と裏。だからこそ、あの二人は似ているし結界も彼女の侵入を防げない」

「じゃあ、あんたはどうして入れるのよ。あんたの妹はそういう理由があるからわかるけどね」

『それも仕方がないことじゃ。こやつたちの力は創世神に通じるものがあるからな』


 神竜の言葉にセシリアたちは驚いている。創世神という世界を創り上げた存在とアンデッドに通じるものがあるというのは、簡単に信じられるものではなかったのだろう。しかし、シュルツがここにいるのは事実。それならば、そういうこともあるのかもしれないとセシリアたちは思っているのだった。
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