白と黒の神話
「でも、私の予感が外れたことがないのはご存知でしょう」

「そりゃ、わかっているさ。ということは、何かがありそうなのか?」

「はっきり言えればいいんですが、まだそこまでの確証がないというのが本音ですね」


 そう言いながら、ウィアはミスティリーナから目を離そうとはしていない。彼は自分が感じていることを彼女も感じているのではないかと期待している。そして、それは間違いではないのだろう。ミスティリーナがふいに彼に問いかけていた。


「何か変な感じがしない?」

「どうかしましたか」


 平然という言葉がピッタリの表情でウィアはそうこたえている。彼のそんな様子に、何かを隠していると思ったミスティリーナは眉をひそめるしかできない。


「ウィア、何か気がついているのね。あんたは白魔導師だもん。あたしが見落としているようなほんの些細なことでもみえているんじゃない?」
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