白と黒の神話
 その言葉に苦笑いをしたウィアは、隠しておくことはないとばかりに話し始めていた。


「気がついてくれてよかったですよ。このまま、気がつかないんじゃないかと不安になりかかっていましたから」

「っていうことは、何かがあるの?」

「あの空の色をみたら、嫌な予感しかしませんね」


 そう言って、ウィアが指差す先をみたミスティリーナは言葉を失っている。そこには、墨を流したように真っ黒な雲が広がろうとしているのだった。


「リア、気をつけて。何かがおきそうだから」


 ミスティリーナの警告するような声。それを聞いたセシリアは何があってもいいように身構えている。そんな中、急に視界をさえぎる真っ白な霧が広がり始めていた。


「どうしたの、この霧は!」


 突然のことに驚くセシリア。そして、ウィアの声も緊迫している。


「気をつけてください。この霧に宿っている気配がわかりませんか」
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