モラルハザード

確かに高畠家は旧家で由緒正しい家柄なのはわかっている。

でも、そんな考えもう古いと思う。


うちの家だって、けっして悪いワケではない。

世田谷に祖父の代から土地があって、その一つをもらって、父は家を建てた。

代々、銀行マンだった家系で、父も銀行に勤め最後は役員まで務めた。


でも、高畠家を前にすると、やはり見劣りはする。

高畠の家の財産は不動産などを入れるとうちの実家と比べ物にならないだろう。

でも、だからと言って、嫁の務めだ、後継ぎを産めとか、ひどすぎる。

私は後継ぎをを産むために結婚したんじゃありません!

こんな心の中の言葉を叫んだら、どんなにすっきりするだろう。

でも、私も押し黙るしかなかったのだ。

ずっとそうしてきたし、これからもずっとそうなのだ。

男の子を産むまで、これは永遠に続くのだ…



「ま、今日はせっかくの莉伊佐の誕生日祝いですから、莉伊佐の話をして

やりましょうよ」

父がおだやかにとりなしたので、その話はそこまでになり

箱根のバースディパーティは、私の中にまたひとつ小さなマグマを残したまま終わった。

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