モラルハザード
「大きなものは置いていこう。手に持てるものはまとめて持って。
後は、段ボールにまとめて、すぐ送れるようにして」
こういうことは慣れているかのような陽介の指示で
夜が明けるころには、だいたいの荷物がまとまった。
部屋を出るときに、向日葵がぐずり出した。
「ノノちゃん、ノノちゃん抱っこしたい」
しまった!と思ったが、遅かった。
そのノノちゃんというのは、向日葵が一番気に入ってるぬいぐるみ。
夜、眠る時は必ず手にしてるもの。
機嫌は悪い時はノノちゃんを抱っこすると
なんとか落ち着くこともあるくらいだ。
向日葵がそう言いだすのがわかっていたから、
最後にそれは手に持とうと、横によけておいたつもりが
陽介が段ボールのどれかにつっこんでしまったのだ。