モラルハザード

九州の田舎から出てきた女の子(マリッぺ)が

そんな簡単に社長になんてなれるはずがない。

誰もがそう思った。


でも、マリッぺは、強かった。

社長になるためになら、何だってやっていた。


一緒に働いていたクラブでは、自分に有利な人脈だと思ったら

先輩の客だって自分のものにした。

そのせいで、先輩ホステスと取っ組み合いのけんかになったこともある。

会社の資金のために、AVにも出てお金を集めた。


スカイツリーが完成したころ

マリッぺは小さいながらもパワーストンを扱う会社を興した。

AV女優上がりの女社長──ネットではこんな陰口をたたかれている。


『翼を持たずに生まれてきたのなら

翼を生やすためにどんなことでもしなさい』


ココ・シャネルの言葉、マリッぺが好きだった言葉だ。


「なみりん、私は翼を持たずに生まれてきたの。

だから、何だってやったわ。周りはいろいろ言うわ。

でも、関係ない。だって、私はひとつの夢を叶えたの。

社長よ。どう?」


マリッぺの声が聞こえてくる。
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