モラルハザード
やわらかな笑顔で頭を下げたその人は───
そうだ!奈美ちゃんのだんなさんだ。
一度だけ、プリスクールの仲良しのママ同士で飲み会をした時
パパたちも参加して会ったことがあったのだ。
「こんにちは!こちらこそ、奈美ちゃんと向日葵ちゃんにはお世話になっています」
ぺこっと頭を下げて、周りを見渡し、奈美の姿を探した。
「いや、今日は一人なんですよ、相原さんは?」
「私も、今日は一人なんです。パパに斗夢を預けてゆっくり買い物したくて」
「いいですね、たまには息抜きも必要ですよ。僕も奈美にそうさせてやりたいんですけど
なかなか出来なくて…」
関西弁訛りのイントネーションが親しみやすかった。
あの飲み会の時もそうだった。
みんなこのパパの話しに聞き入ってたっけ。