モラルハザード
「そんなインチキ臭い話があるか。
今の名前を名乗れない何か怪しい事情があるに違いない」
兄は陽介のことをはなから疑っていて、結婚に猛反対した。
でも、もう、お腹には向日葵がいた私は、結婚する以外に選択肢を持たなかった。
「そんないかがわしい奴と結婚するなら、二度とうちの敷居をまたぐな」
絶縁ともとれる言葉を放たれて以来、兄とは口をきいていない。
でも、兄の勘が当たったのだ。陽介は、詐欺師だった。
お金を借りても返さず、または騙し取り、横領までする。
横浜地裁と静岡地裁からの封筒を開けると
投資詐欺のようなことをして訴えられていた。
被害者はどれほどいるのだろう…