モラルハザード
亮太は素朴なお坊ちゃんタイプの人。
そんな亮太を手玉にとるのは簡単だった。
いろんな、いわゆる“条件のいい男”と付き合ったけど
亮太と出会い、付き合いが深まっていく中で
私は確信したことがある。
亮太は私が思い描いた条件をすべて満たす結婚相手だったこと。
ドクターであること、実家が開業医であること
生家が代々続く家柄であること…
私はいつも思い通りの人生を過ごすことが出来ていた。
希望していた女子高には猛勉強の末、合格したし
幼いころからの夢だった難関の国際線のCAになることも叶った。
次なるステップの結婚も、こんなにすんなり手に入れることが出来るなんて。
私はなんてラッキーなのかしら。
友達はみんな私のことをうらやんだ。
その視線は心地よかった。
そう私はすべてを手に入れることが出来る。
今までも、これからも。