モラルハザード
右田とやくざのような数人の男たちと共に取り残された私は
身の危険を感じずにはいられなかった。
「私たちをどうするつもりなんですかっ?」
声がふるえ私は向日葵をより一層強く抱きしめた。
向日葵は小さな手を私に回し、泣かずにじっと耐えていた。
「さあね、どうしますかね。ま、森川は一銭の価値もないですから、
海の藻屑にでもしますか」
右田の手下のような男が右田に聞いた。
「最後に海の魚のえさくらいなって、人の役に立たないと、
こいつは何のために生まれてきたかわかんねぇからな」
そう言うと右田がぐったりしている陽介を蹴り上げた。
それによって、意識が戻った陽介は、虚ろな目で私たちを見つめていた。
「お願いです。この子だけは助けて下さい。私はどうなってもいいですから」
向日葵を抱きしめ泣き叫ぶような声で願った。
「何でもしますから、どうか、どうか、この子だけは助けてやって」