モラルハザード
今はその親戚が集まる法事に赴いた帰り道。
山々に囲まれた高速道がだんだん、都会の景色に変わってくる。
見なれた空気にやっと心が落ち着いてくる。
今日もやっと終わった…
苦痛に耐えた一日がやっと終わった。
何日か分の大きな仕事を終えたような疲労感が襲ってくる。
私は助手席で大きな伸びをした。
そうだ!明日は莉伊佐を世田谷の母に預けてマッサージに行こう。
ついでにエステに行って
あ、ネイルも法事だからって、落としちゃったから
新しいのを施して…
「それくらい、いいわよね」
思わず独り言を言った私をちらっと見た亮太は
BMWのハンドルを握りながら鼻歌を歌いだした。