モラルハザード


そこで私は顔もわからない親戚や年老いた


誰のおじいちゃんかわからないような老人から


男の子を産み後継ぎを絶やさないことは


嫁いできた嫁の最大にして絶対のやるべきことだと遠まわしに


あるいはそのまま言われることにじっと耐えないとならなかった。


やっと産まれた赤ちゃんが女の子で、何が悪いのか。


次は男の子、とどうして簡単に言えるのか。


そんなに簡単に授かるものではないのだと


いやというほど味わった5年間がよみがえる。


苦痛だった。


これ以上の苦痛は考えられないほど


苦痛だった。
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