オレ様になりたくて…。





「どーもこーも…ねぇよ…」


アタシはまだ息が切れていた


「いつまでも煙草吸ってるからだろ?だらしねぇな、紅の姫夜叉が」


と呆れたように太一が言う


「仕方ねぇだろ?運動なんかしてねぇし、それに思いっきり走らなきゃ怪物が追っかけてくるじゃん」


「怪物?…ああ、モンスター瀬尾かぁ」



私達に向かって何やら騒いでいた瀬尾さんの姿が浮かぶ

クスクス クスクス…
クックックックッ…

アタシたちは同時に笑いだした

ひとしきり笑った後、太一が急に真面目な顔して言った






「オレ、もうピエロはやらねぇよ?」

「うん、知ってる」


「それに、犬コロ扱いはごめんだ」

「うん、解ってる」


「それに、オレ様になんかなれねぇーぜ?」

「うん、ならなくていい」


ニヤニヤしながら太一が近づいてくる


「オレ、これからもチャラいけどいいの?」

「うっ…ん!」





チャラ男の…

太一の唇が私の唇と




重なった




< 132 / 137 >

この作品をシェア

pagetop