ゴーストバスターZERO
番外編(1)
おっす!
俺はZERO!
ひさしぶりに1日だけ
霊界より、人間界への
滞在が認められて
羽を伸ばしに帰って来たよ~
だがしかし…
この体って…?

オッサンの体じゃんか~
なんで
もうちょっと若い肉体が無かったのかね…
(何をさっきからゴチャゴチャ言ってるんだ?)


おっ!?
天魔も一緒か?
なら休みが休みじゃ無くなるだろ!!
(貴様はすぐに楽をしたがるからな…)
(監視が必要だ!)


そ、そんな…
(何か不満でもあるのか?)

い…いえ…ないっす…(泣)


……(番外編死神憑依)……


んにしてもよ~
オッサンの体は不自由だぜ!
体はゴツいし、足は片方重いし…
(ZEROよ…貴様が憑依した肉体はまだ生きた人間だぞ!)
(感謝するんだ!)


ひょっとして……
(貴様の話は全部筒抜けだぞ!)


ホヘ(´Д`)


【黙って聞いてたけど…】【オッサンで悪かったな?】

あ、いえ…その…(泣)
(まぁ内輪揉めは、そのくらいで…)
(今日はせっかくの休みだからな!!)


だよな!
何しようか?
【温泉がいいだろ?】

お、温泉!?
ガクガク…ブルブル…
【どした?嬉しくないのか?】
(ZEROのヤツは温泉で知り合った女の霊に恋をして…)
ワーワーうるさい!
うるさい!
行けばいいんだろ?
行けば!
俺の生前の容姿は
イケてたけどよ…
このオッサンの容姿じゃ…
【おい!お前…一度ぶっ飛ばしてやろうか?】



奇妙な三人組の
日帰り温泉ツアーが始まった!

このオッサンの車を借り
地獄がある温泉へと
向かって行った…

このオッサン…
ソコソコ霊感があるらしく
姿なき者とのバトルを好んでやってるらしい…


憑依した体は
動かすのは
俺主導なのに…
このオッサンは
自由に自分の肉体を
操ってやがる…
天魔が見込んだ男って訳か?


【よ~し!着いたぞ!!】
【先ずは風呂だ!】
おいおい…
俺の台詞…(泣)


ブハ~ッ
湯に浸かると
日本に生まれて
よかった~!
【なんじゃそりゃ?】
【織田裕二か?】
【さっきからオッサンって言ってるけど…俺、福山と同じ歳だぞ!】

福山?
比べる相手が違うだろ?
福山とね~ヘェ~
やっぱオッサンに見える!!
【この野郎…肉体がないから好き放題しやがって…お前も、そこいらの霊と変わらんな…】
【天界でちゃんと修行してんのか?】
【よく泣いて逃げてるんじゃないのか?】

(ハハハッハッ!!)

天魔まで笑ってる~

【図星か?シャバ僧君よ…】
も~
なんだよ~


俺達は風呂から上がると
地獄巡りの方へと
足を運んだ…

温泉饅頭
温泉卵
温泉プリン…
温泉と名が付く
食べ物を…
オッサンが片っ端から
喰って行った…
よく食うな~


硫黄の匂いが
充満した
この地獄に
橋がかかっていて
それを目指して
歩いて行くと
スーツ姿の若いサラリーマンの男が
橋をまたいで
その地獄の中へと…

【おい!兄ちゃん!】
【財布を落とさなかった?】と言いながら
オッサンが若い兄ちゃんの
首根っこをガシッと掴み
飛び込みを上手く阻止した…

「い、いえ…」
「自分のじゃないです…」
【知ってるよ、俺の財布だからな!!】
【ってか…見間違ってたら謝るけど…】
【そこから飛び降りるつもりだったのかな?】

うまく言うな~
俺が主役なのに~(泣)

【ちょっと黙ってろ!】

「はい?」

【いやこっちの事だから…】

「実は…急に意識が飛んで、電車のホームに飛び込もうとしたり、崖、橋…」

【おい…それって…】

オッサンよ…
兄ちゃんの首と腹に
黒い塊が憑いてるぞ…
恐らくは…

【んな事ぐらい分かってる!】
【首と言うより、延髄の部分だ、盆の窪というとこだな、腹はヘソ、へその緒に憑いてるな…】
【どちらとも邪悪な気配がしてる…】
【どちらにしても早くやっつけないと…】

オッサンよ…
どうするんだ?

【先ずは、いつからこんな風になったのか?】
【キッカケがあるはずだ…】

んな事ぐらい分かっとるわ!!
何かオッサン主役じゃんか~


近くに
茶屋があり
兄ちゃんを誘って
コーヒーを飲みながら
優しく問いかけた


【兄ちゃんよ…最近何か悲しい出来事でもあっただろう?】

「へっ?どうして分かるんすか?」

【顔に書いてるよ…】
言うと思った!
つか…書いてる?
んな訳ないだろ!!


「まぁ…結婚を約束した彼女が居たんですが…」
「フラレたんです…(泣)」

【そっか…】
【でもな…それで死にたいとは思わないよな?】
【兄ちゃんはソコソコイケメンやし…】

「はい?自分はまだその位では…次の恋愛に移るだけですから…」
「でも…さすがにショックでしたよ…」
「男だって泣きますよ…」
【そっか…】


「立ち直るまで、1ヶ月かかったんですからね…」

【ところで…兄ちゃんは、どこから来たのかな?】

「自分っすか…○○県ですけど…」

【偶然だね~オッチャンも同じだよ~】
自分でもしっかりオッチャンって言ってるし…

【で…どうやって来たのかな?】

「それが…憶えてないんですよ…」
「気がつくと、ここはドコ?みたいなんです…」

【車は持ってるの?】

「いえ…車は彼女に貸したきり…」

【分かった、もう言わんでいいよ…】
【ちょっと、トイレに行ってくる…】
【帰りは一緒に帰るから待っててな…】



【なぁ…ZEROよ…】
【俺には強がってたけどよ…悲しかったんだろうな…】
【俺も…兄ちゃんの気持ち分かるんだよ…】
【相当フラレて来たからね…】
【悲しみが続けばマイナスの要素になるんだけど…】
【全ては、光と影…性質の相反する物が均等なバランスを取る事で均衡が保てるんだ…】
【マイナスの要素を含んだまま、1ヶ月も居たら、低級霊を呼び寄せてしまい、霊障として、時には命を落とす事にもなるんだよ…】


オッサンよ…
嫌な気配がする
ちょっと戻ろうぜ…

【そうだな…】



アレッ?
居ない…
まさかの…
【マサカズかも知れないな…】
【橋まで走れ!!】
ショボっ!


居た!

まさしく橋から
ダイブ直前だった

【チッ…間に合わんか…】

何を思ったか
オッサンは近くにあった
小石を兄ちゃんに
めがけて投げた!!


「痛っ!?」
「はぁ?またか…」
「何故邪魔する?」
「コイツの命はワシが貰うんだ、邪魔するな!!」

兄ちゃんに憑依した者が
正体を現した…


【悪いが…俺の友達だからな…】
【どうぞって訳にはイカンよ…】


「ならば…道連れじゃ~!」


先程とは
うって変わり
兄ちゃんの
表情
仕草
口調
そして
力強さ
危ないかも知れない…


【ほぅ…上等だぜ!】
【兄ちゃん…ちょっと痛いかも知れないけど…】
【終わったら飲みに行こうな!】


相手の攻撃を予測してたかのように
かわしてパンチを打つ…
オッサン…格闘家か?
殴られてもニヤリと笑い
楽しんでるかの様だ…


【ボチボチ体が温まったな…本気で行くぜ!】


さらにパンチのスピードが…
つか…パワーアップしてるな…

俺の出番なしか…


【いい加減に離れろ!】
オッサン…兄ちゃんの体が持たんぞ…


【分かってる!】
【クソッ…どうすれば…】
【俺のやり方でイカせて貰うぜ!!】


いきなり
兄ちゃんの体に抱きつき
そのまま、抱え上げ
砂利が敷かれた駐車場へ
連れていき
力尽きたのか
2人共バタンと倒れた…


オッサン…
大丈夫か?
【し、静かに…】


兄ちゃんに取り憑いたヤツが兄ちゃんの肉体を離れて
オッサンの体に乗っかった

【待ってたぜ!】
【ZERO!出番だ!!】
【俺と息を合わせろ~!】だから…
なんでリーダー口調なんだよ…

【雷電拳の準備はいいか?】
何故知ってる?
あ、あ…いつでもいいぞ!!
【行くぜ!】
【雷電拳!!】
雷電拳!!

肉体を離れたヤツは
まともに雷電拳を食らった!!


ウギギギャーッ!!

断末魔の叫びを上げ
その瞬間に消えた…

【あと、一体だ…】
【コイツは攻撃はしないで、天魔に任せる…】


あ、あ…そうだな…


へその緒に憑いてた者の
正体は、兄ちゃんの片割れだった…
つまり双子だったんだよ…
いつも羨ましくて
堪らなかった…
成長をかさね
学校生活
社会人
そして恋愛
妬みの塊となり
邪悪な霊を知らず知らずに呼び寄せてたんだな…
天界に行けば
そういう事もなくなり
兄ちゃんを守護する霊となる事だろう…



オッサン…
俺の時とは
比べ物にならないな…
ちょっとだけ
安心したよ…


天魔が
俺とオッサンを会わせた
意図ってもんが
分かった気がする…

帰ってまた修行するか…


無事に
帰って来たけど
オッサンと兄ちゃんが
一言も言葉を交わさなかった…
兄ちゃんには説明しないでもいいと、オッサンの要望だった…

兄ちゃんは
これからも、
素敵な恋愛をして
幸せになれば
それでいいと
オッサンが照れ隠しながら
言っていた


今回の人間界の経験は
さらに上を目指す為の
きっかけになったよ…


ありがとな
オッサン…

バトル馬鹿と思ってたけどよ…
相手をただ単に倒す為ではなく、
相手の為にいかに動けるか?
人を守れる為にどうすればいいか?
自分に厳しく
人に優しく

心の葛藤は
日常的な物
それを選択する事も
立派なバトルだ…
勝ち負けの勝負も大事だけど、
ガマンする事も大事だよ…



1週間かかってしまった
ゴーストバスターZERO


またいつか
お会いしましょう!


アナタにも
ZEROや天魔が
存在します様に…

力でもなく
勇気や思いやりを…


テヘッテヘッテヘッ!!
(↑なんで最後はオチャラケるんだょ…)
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