蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
翌日。
絢乃は運用課の自席で、雅人が残した基本設計書のうち、データベースの部分を確認していた。
基本設計書には確かに『来年の6月に保守期限が切れる』とある。
となると、やはりこの改訂のタイミングでデータベースを移行してしまわなければならないだろう。
だが、物流システムは止まることが許されないシステムだ。
それに導入時の費用を見てみると、3000万という金額が載っている。
物理システムの規模を考えたら妥当な金額だとは思うが、絢乃はこれまで、そんな金額を動かしたことはない。
自分一人で、できるだろうか・・・。
新しい仕事をやってみたいという気持ちはある。
しかしあまりに突然すぎて、不安がよぎる。
せめて、他に一緒にやってくれそうな人はいないのか・・・。
絢乃は第二開発課の居室を訪れ、卓海のもとへと歩み寄った。
データベースの件で相談したい、と絢乃が言うと、卓海は絢乃を会議室へと入れた。