蜜愛シンドローム ~ Trap of Takumi ~
「・・・で? 何だ?」
卓海は忙しいらしく、苛立ったような口調で言う。
しかし上司の機嫌が悪くても、聞くべきことは聞かねばならない。
絢乃は卓海を正面から見、口を開いた。
「あの。物流システムのデータベースの件ですが。私の他に、できそうな人はいないのでしょうか?」
と、絢乃が言うと。
卓海ははぁとため息をつき、絢乃を見た。
・・・その、真剣な瞳。
卓海は仕事モードの真面目な表情で絢乃に言う。
「・・・お前な。なぜオレがお前にその仕事を投げたのか、ちゃんと考えろ」
「・・・」
「お前以外にできそうなヤツがいれば、そいつに投げてる。だが物流システムのデータベースに関しては、お前が一番詳しい。お前以上の適任者はいない」