【砂漠の星に見る夢】


「古代エジプトでは、ある部分においては現代よりもずっと文明が発達していたんですよ。
現代にある物とは少し違いますが、飛行機やヘリコプターのようなものも存在し、空を飛んでいたんです」


信じられない話に、思わず「まさか」と笑うと、雄太が呆れたように息をつく。


「それって古代文明説ってやつ?
そんなのただのおとぎ話だよ。だって人類が滅びたわけでもないのに一度発達した科学がなぜ廃れるのか説明がつかないじゃんか」


腕を組みながら冷静にそう告げた雄太に、老人は目を開いたあと、嬉しそうに微笑んだ。


「賢そうなお坊ちゃんだ。
そう、人類が滅びたわけでもないのに、発達した高度な文明が滅びるのは確かに不思議なことです。
しかし人類は滅びてはいなくとも、『ある宗教』は滅びてしまったのです。その宗教と共に高度な文明も滅びてしまった、そういうわけなのです」


「……ある宗教?」


「ええ、古代エジプトでは二つの宗教が存在していました。太陽を信仰する『ラー』と、自らを北極星に住む者の末裔と信じ、星を信仰する『オシリス』です」


と二本指を出して見せる。




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