【砂漠の星に見る夢】

「お嬢さん、エジプト最古のピラミッドをご存じかな?」


「ええと、サッカラのピラミッドっていう階段の形をしたミイラが発見されたピラミッドですよね?」


「お姉ちゃん、物知りだね」


からかうように言う雄太に「飛行機の中でガイドブックを見ただけなの知ってるくせに」と口を尖らせ、老人は私たちのやり取りを前に楽しそうに目を細める。


「……そうです、その階段ピラミッドを建造したのはジョセル王です。

しかし実際の建造者は王ではなく天才宰相イムホテプです。イムホテプはメソポタミア側の人間、つまり星信仰派『オシリス』だったわけです。


『ラー』を信仰する王室と『オシリス』の宰相が手を組み心中疎ましく思いながらも、しばらくは上手く行っていたエジプト王室でしたが、クフ王の父スネフェルが王座に着いた頃、その絶妙な関係も崩れていきました」


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